同人音楽サークルkaguyadepthは、2024年3月23日(土)に大田区産業プラザPiO 2F小展示ホールで開催される「RETRO GAME SUMMIT Lv.2」で、シューティングゲームのステージ2の曲だけをゲームボーイ音源でアレンジした音楽CD『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっくLEVEL2』を500円で頒布します。スペースNo.は「B05」です。
『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっくLEVEL2』では、コミックマーケット77(2009年冬コミ)で頒布した『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっく6 シューティングスペシャル』から登場した2代目看板娘、黒髪の十字ぼたんと、緑髪の天堂ひとみを、KONAKENの藤崎景子さんにデザインリファインしていただきました。
また、VGMDJの314さんと萌尽狼の特別対談「シューティングゲームのステージ2の曲を語る」を4ページにわたってブックレットに掲載しています。
M3-2013秋で頒布した『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっく8』を最後に約10年間シリーズ展開が途絶えていたので、萌尽狼のライナーノーツは『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっくLEVEL2』発行に至ったいきさつを書きました。この文章はkaguyadepthウェブサイトおよびnoteでも読めます。
はてなブログではライナーノーツに書ききれなかったことを、kaguyadepthウェブサイトやnoteとは違った視点から探っていきたいと思います。
ふぉ~ぽりふぉにっくまじっくシリーズのコンセプトはゲームボーイに移植されていないゲームの音楽がゲームボーイの音で楽しめる同人音楽CDです。シリーズのルーツはミックマーケット65(2003年冬コミ)で頒布した『ちがうの!ライクじゃないんだよーっ』です。
ゲームボーイ実機で音楽を作れるソフトnanoloopが1998年に、Little Sound Dj(LSDj)が2000年に登場し、チップチューンといえばゲームボーイといった感じで盛り上がっていったわけですが、パソコンで擬似的にチップチューンを作れる環境は長らくファミコンが優勢で、ゲームボーイは選択肢がとても少ない状況が長く続きました。
そこで2007年末に一般公開した拙作ゲームボーイサウンドフォント(DMG-CPU.SF2およびDMG-CPU1.5.SF2)がニコニコ動画を中心に盛り上がり、ゲームボーイサウンドフォントでチップチューンを知ってLSDjを使うようになったり、そこから人気アーティストが生まれたりといったうれしいことがたくさんありました。拙作よりもさらに充実したサウンドフォントを作られた方もいらっしゃいます。
M3-2005春では最初の『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっく』を頒布したのと同時に、サークルFMPSGの『FMPSG003 -The Chiptune Memories-』に参加しました。萌尽狼はM3-2020春で頒布されたサークルFMPSGのラストアルバム『FMPSG024 -period.-』まで主にゲームボーイ音源担当として参加していましたが、サークルFMPSGで発表した楽曲のプライベート再録を『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっく2』からやっていました。
最初の『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっく』も2003年から2004年にかけて頒布した100円のシングル3枚をまとめて300円にしたアルバムだったので、ふぉ~ぽりふぉにっくまじっくシリーズはわりと再録メインでやってきた印象があります。
ふぉ~ぽりふぉにっくまじっくシリーズの頒布価格をあらためて振り返ると、安すぎます。
なぜその値段でやれていたのかというと、東京に住んでいて秋葉原や家電量販店にすぐ行けて、イベント参加の交通費・宿泊費もかからなかったことと、やはり若気の至りということでしょうか。
20年前というと三井化学がCD-Rから撤退して国産CD-Rにかげりが見え始めた時期。当時所属していたインディーズレーベルからAmazonにある三井のCD-Rは全部買えと言われたことを思い出します。
CD-Rの開発元である太陽誘電が国産CD-Rから撤退した2015年以降は、同人音楽でもダウンロードカードやストリーミング配信が主流となり、CD-Rは斜陽産業です。
それでも音楽CDを作りたい一心でここまでやってきたわけですが、資材高騰や萎え同人(同人音楽サークル最大手の大江戸宅急便が1999年頃から使い始めた、イベント前の家内制手工業を指すワード)を考えると、サウンドプレスに依頼しても大差ないということで、近年はCDを手作りする機会も減ってきています。
【萎え同人用語の基礎知識】そもそも、萎え同人とは何か。そもそも同人とは楽しい萌えである。しかし、ホチキスをとめたり印刷したら切ったり貼ったり焼いたりすることだけでは到底楽しくはない。それら全般を「萎え同人」と、1999年ごろからサークル内で言い始められた。
— 島村秀行(~~v (@shimamurasan) 2011年12月26日
www.sound-press.jp
頒布価格に関してはM3-2000秋に初参加してから前述のYMOパロディーでインディーズレーベルに所属していた頃が一番高くて1000円から1500円、それから2002年末あたりで心変わりしてアルバム500円、シングル100円みたいな価格設定をしてきました。
やはり初参加のM3で知り合ったaerophononのSommenchさんがアルプス電気のマイクロドライプリンタを使って凝りに凝ったデザインのエコー・ザ・ドルフィンのアレンジCDを1枚200円で頒布していた衝撃がいまだに大きいです。
kaguyadepthになってからは、ダイソーやワッツからスリムじゃないほうのCDケースが姿を消していき、資材高騰を目の当たりにして、一次創作のEPを300円、アルバムを1000円としましたが、二次創作に関しては収録曲数に関係なく『逆ディウス』の場合は300円にして、原価ギリギリのところでやってます。当然、同人ショップの卸価格では原価割れしています。利益ゼロどころか赤字です。
この辺は、一次創作は毅然とした態度でそれなりの価値をつけて頒布しないとダメだろうという心情と、二次創作は一次創作と同じ価格設定ではダメだろうという心情がせめぎ合っています。
なので、『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっくLEVEL2』の頒布価格が500円というのは、作品内容としての妥当性はともかく、個人的にそれ以上に価格設定するつもりがないということです。
懐事情はサークルによってまちまちだと思いますので、参考程度に聞き流してもらえればと思います。
さて、本題はふぉ~ぽりふぉにっくまじっくシリーズのライナーノーツでは恒例だった各曲解説のつもりだったのですが、時間がなくなってしまいましたのでいったん区切りたいと思います。
今回はブランクもあって耳コピがダメダメだったので、各曲解説をやるということは負けを認めるということになるのですが、それ以上にちょっと気にさわることがあったので。
『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっくLEVEL2』の試聴動画はYouTubeとニコニコ動画で3月2日から公開していますが、ニコニコ動画の方でちょっと気になるコメントがありました。
Tr.18『ホットドッグストーム』ステージ2に対してのコメントなのですが、これはM3-2007春で頒布した『ふぉ~ぽりふぉにっくまじっく3』の再録なので、17年前の私への叱咤激励かな?そりゃどうも。
ホットドッグストームはYM2203なんですよ。なので50%矩形波3音とFMギター、FMベース、FMドラムの合計6音で構成されているんですね。
で、サウンドフォントできれいな音階を出せるようにしたノイズでFMギターを再現して、ドラムはベースに割り込んで矩形波で鳴らしている。これで努力とは…
もちろんゲームボーイ音源の正攻法としては、波形メモリ音源でギターを鳴らして、ノイズでしっかりドラムを鳴らしてリズムをキープすべきだと思う。ただ、そうすると矩形波2音でメロディーとベースを鳴らすことになりデチューンはできない。どこを再現するか?になるんですよ。
なので、文句があるなら17年前の私に言ってください。今の私は知らん。WAVになってるものがあったから再録した、それまでだ。
それはそうとホットドッグストームはマジでアツいゲーム音楽なので知らない人はチェックすべき。グラフィックリサーチ(チーム百万石)で『バトルマニア大吟醸』を手掛けた作曲陣とのこと。ゲームはなんかどこかで見たことあるようなメカがたくさん出てくるけどね!