萌尽狼グ

同人音楽サークルkaguyadepth代表、萌尽狼(もえつきろ)の個人ブログ

SoundCloud規約変更の予告と撤回に翻弄された1週間

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12/9からSoundCloudの規約変更で無料プランは上限15曲に制限される(既投稿分含む)と12/3に予告されたが12/5に撤回された。

撤回

blog.soundcloud.com

SoundCloudの無料プランは3時間(昔は2時間)を上限に曲数無制限に投稿できるもので、1曲3分として40~60曲程度公開することができた。それが15曲に制限されるということで大顰蹙を買ったわけだ。
またクレジットカードを持てない若年層は有料プランに移行することができず、将来有望なアーティストを締め出すことになるのではないかという批判の声も上がっていたようだ。

Twitterの休眠アカウント削除撤回も記憶に新しいところだが、過去にはニコニコ動画の投稿数制限やpixivの新UI撤回といった同様の出来事もあった。
ニコニコ動画は既投稿分は制限に含まれなかったが、その数日前に容量確保のため古い動画を削除したばかりだった。今回も11/24に古い曲を削除したばかりでまたかと思った。今後は削除したいと思ったらそれは虫の知らせと気づきたい)

SoundCloudは2年半前に一度経営危機に陥っており、今後またこのようなことがないとも言い切れない。
SoundCloudの代替手段に考えを巡らせたこの1週間をまとめる。


メディアの反応

今回の件について報じているメディアは少ない。Twitterのタイムラインで情報が駆け巡った形だ。
fnmnl.tv
12/11追記
lostmortal.info
www.sakumamatata.com

海外メディア

Rolling Stoneなどの大手メディアがその経緯について詳しく報じている。
www.rollingstone.com
www.digitalmusicnews.com
musically.com
www.hypebot.com

日本のメディアであまり話題になっていないのは知名度が低いせい?
(同僚に「SoundCloudって知ってる?」って聞いてみたら名前くらいは聞いたことがあるという反応でしたが…)


2年半前の経営危機とは?

2017年7月従業員の40%をレイオフした。詳しくは各種メディアの過去記事参照。
www.itmedia.co.jp
jp.techcrunch.com
wired.jp
jaykogami.com
gigazine.net

また今年SoundCloudはクリエイター向け収益化ツールのRepost Networkを買収している。
www.itmedia.co.jp
jp.techcrunch.com

今回の件も今後これらのメディアが詳しく伝えてくれることに期待したい。


代替手段1:ジェネリックSoundCloud

波形やコメントが表示されるウィジェットまでそっくりなジェネリックSoundCloudがいくつかある。
無料プランの制限は一長一短で、有料プランはおおむねSoundCloudよりも割安になる。

Mixcloud

www.mixcloud.com
DJミックスやラジオ番組といった尺の長いものに特化したSoundCloudと考えて差し支えない。
容量・曲数ともに無制限だが、曲が短いとアップロードできず、またダウンロードもできない。XFD(クロスフェードデモ)にはよいが曲単位での利用は厳しい。
dj-kitty.com

hearthis.at

hearthis.at
無料プランはMP3のみ週2GB500MBまで、合計1万再生・5千ダウンロードが上限で、長い目で見ると不便かも。有料プランは年額でSoundCloudの約半分。
arynco.com

Audiomack

audiomack.com
完全無料・無制限のジェネリックSoundCloud。故に違法アップロードも散見される。ワーナーミュージックとパートナー契約を締結している。
jaykogami.com

SongBox

songbox.rocks
無料プランは3曲までだが有料プランは永久無制限。5年契約で比較した場合SoundCloudより高機能で割安になる。問題は5年後までSongBoxが存続しているかだ。
gigazine.net

MQube

https://mqube.net/mqube.net
TmBoxの後継サービス。TmBoxはかつてTwitterに音楽投稿できたtwiaudioやTwitSoundが終了する際にSoundCloudとともに移行先として示されたサイトだった。
埋め込みプレーヤーは表示されないがTwitter音楽投稿用として一定の人気がある。ただし投稿作品は全てトップページに表示されるため大量アップは迷惑かも。

AUDIUS

audius.co
12/11追記。YouTubeで見つけた。プレーヤーの経過時間はプログレスバーで波形表示にはならない模様。

AUDIUSを試す。SoundCloud規約変更で引越し先の大本命?


代替手段2:YouTube

国内外に多くのユーザーがいて、Twitterで埋め込みプレーヤーが表示されるWebサービスは限られている。最大手の動画サイトは音楽目的での利用者も多い。
YouTubeにはかつてのニコニコムービーメーカーのような静止画と音楽ファイルで動画を生成するようなものは提供されていないが解決策はいくつかある。

2YouTube.bat

github.com
今回の件を受けてswitchworksのSOU1氏が作成したWAV/MP3を全自動でYouTube動画にエンコードするバッチファイル。




代替手段3:ブログ

調べを進めると、ライブドアブログSeesaaブログは無料でアップロードできる領域があることがわかった。
プレーヤーUIが弱いという問題があるが、サイト運営がしやすくSEOSNSシェアの面でも有利といえる。

ライブドアブログ

blog.livedoor.com
無料で容量10GB。MP3をアップしてブログに貼り付け可能。
help.blogpark.jp
help.blogpark.jp

Seesaaブログ

blog.seesaa.jp
無料で容量5GB。MP3をアップしてブログに貼り付け可能。
info.seesaa.net
info.seesaa.net

note

note.com
noteはコンテンツ販売プラットフォームであり音楽配信にも対応している。
www.shellbys.com

マネタイズを考えるならBandcampも候補に挙がるが、いずれにせよ二次創作がネックと言える。
bandcamp.com

はてなブログはどうする?

Dropboxなどのファイル置き場を利用することになる。プレーヤーの設置方法はこちら。
retiresaki.hatenablog.com
www.sakumamatata.com

番外編:記事に直接MP3を埋め込む

ファイル置き場のないブログの場合、音声ファイルをbase64形式にエンコードして、audioタグに直接ぶち込む手段があるそう。
www.engineer-log.com


代替手段4:音楽配信サイトを自分で構築

最後にWordPressプラグインHTML5のaudioタグを便利にするオープンソースなどを取り上げる。

wavesurfer.js

wavesurfer-js.org
SoundCloud風の波形表示が可能なオーディオプレーヤーJavaScriptBSD-3-Clauseライセンス。
JavaScriptに音声ファイルパスを記述するタイプ。リスト再生などのデモはあるが、1ページ内に複数プレーヤーを設置可能かは不明。

Stmingo

stmingo.mallento.com
マレントジャパンが開発したSpotifyApple Musicのような定額制音楽配信サイトを構築できるCMS。価格はプランにより10~40万円ほど。
www.value-press.com

Green Audio Player

github.com
HTML5のaudioタグはブラウザによってプレーヤーUIが異なりサイトデザインが崩れるという問題を解決できるCSS/JavaScript。MITライセンス。
複数プレーヤーの同時再生防止(前の曲を一時停止して次の曲を再生)に対応するが、対応フォーマットはブラウザに依存する。レスポンシブには非対応のためCSSは若干修正が必要。
www.cssscript.com


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12/15、kaguyadepthウェブサイトHTML5 Audio PlayerをGreen Audio Playerに差し替えました。画像のようにレイアウト次第でSoundCloud風にすることも可能です。
ローカルでも動作しますが、GitHubからダウンロードしたサンプルがChromeで動作しない場合は、audioタグのcrossorigin属性を削除してください。(Edgeでは削除しなくても動きます)
teratail.com
デフォルトのCSSは横幅400px(最小300px)固定なので、レスポンシブデザイン対応やスマホ表示時のはみ出し防止のため横幅を100%に変更。またBootstrapのボタンと見た目を揃えるためbox-shadowとborder-radiusを変更しています。
クラスを.player-with-downloadに設定することでダウンロードにも対応しますが、アイコンクリック時にブラウザのプレーヤーが立ち上がってしまう場合は、下記リンク先を参考に.htaccessを設定してください。
musmus.main.jp
CDNからロードすることもできるので、はてなブログでも使えます。(詳細はGitHub参照)

.si-boxからはじき出されてしまったのでdivをspanに変えています。通常はdivのままでOKです。

audio.js

kolber.github.io
Green Audio Playerに比べカスタマイズ性に優れているが、一部ブラウザの旧バージョン対応でFlashに依存している箇所があり、今後の使用に不安も残る。
145.rei-yumesaki.net

areMond

aremond.net
12/11追記。バンド向けCMS。無料パックは音源容量30MBと少ないがアップロードできるMP3の曲数は無制限。90日間ログインなしでアカウント削除となる。
www.pumpkindream.com


あとがき

SoundCloudずっとなんとかしたいと思ってた。そもそもFacebook IDでアカウント作ったのがいけなかった。
ゲームやアニメのカヴァーばかりライクされ通知メールにうんざりしていた。でも再生数やコメントを見ると削除するのは忍びなかった。
11/24にこれから作るオリジナル曲のためにあらかじめ容量を確保しておこうと思った。一時の気の迷いだった。
最初は再生数の少ないものだけ切ろうと思ったが、気がついたらカヴァーをすべて削除していた。
あれだけ削除したのに容量はちょっとしか増えなかった。削除したいと前々から思ってたんだから、これでよかったんだとその時は思った。
Tokyo Future Musicは委託CDの試聴をSoundCloudにアップする決まりなので、最低XFDだけ維持できればいいと思った。
しかし12/3に15曲制限になると知った途端やり場のない怒りを感じた。ニコニコ動画のときもそうだったからなおさらだった。
15曲制限で新たに曲を追加するには、無料配信している25曲のアルバムまで削除してどこかに移すしかなかった。
そうしてSoundCloudの代替手段に考えを巡らせていると、ふぉ~ぽりふぉにっくまじっくの特設サイトを作りたかった件まで思い出してしまった。
せっかく引っ越すなら曲単位でもアルバム単位でもシェアできるサイトにしたかった。妄想に欲が出た。でも自力でやるのは限界があった。
結局この中で自分が使えそうなのはGreen Audio Playerくらいで、だからこそいろいろ調べたことをまとめておく必要があると思った。
ただ放置状態のSoundCloudから曲を消したり、引っ越すことを考えた結果、SoundCloudが何物にも代えがたいものであることにも気付かされた。
お金が必要だから無料プランを規約変更しようとしたのだろうし、前言撤回したからといって楽観視できる状況ではないわけで。
現状維持を選択することでSoundCloudの寿命がかえって縮まったのではないかと危惧するも、今まで通り無料で維持したい僕にはどうすることもできないわけで。
SoundCloudに払う金があるならもっといいジェネリックを利用したいと魔が差す。この悩みはもうしばらく尾を引きそうだ。