萌尽狼グ

同人音楽サークルkaguyadepth代表、萌尽狼(もえつきろ)の個人ブログ

唐突に『逆ディウスII~望野のアフーゴ~』を作り始めてから3週間

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まだまだ遠い道のりであった。

2~3週目の作業内容

グラディウスⅡの音源構成について

2016年1月23日発売のEGG MUSIC RECORDS『X68000 グラディウスII GOFERの野望 COMPLETE SOUNDTRACKS』でhally氏が詳しく解説しているが、2019年7月22日に販売終了しており現在は入手困難。収録内容は一部配信されている。
www.amusement-center.com

X68000 Gradius 2 Goferの野望 Complete Sound Tracks

X68000 Gradius 2 Goferの野望 Complete Sound Tracks

グラディウスⅡのマザーボード「ツイン16システム」の音源構成は以下の通り。音声出力はモノラル。

FM音源は8音中5音がBGMに、3音が効果音に割り当てられている。BGMはFM音源5音+ADPCM2音の合計7音で作られている。

サンプリング方針

その曲の中で最も長いサンプルを抜き出している。また、曲の調性にかかわらず、できる限り使いやすい音階(C, F, Gなど)を選んだ。
基本的にサンプラーで音階を付けると高音は再生時間が短くなり、低音は音の輪郭がぼやけるため、同じ長さなら高音のサンプルが望ましい。
しかしながら、その楽器の推奨音域にしたがって適切と思われるサンプルを選んでいる。また、同一楽器で音程が離れている場合は複数サンプリングしたものもある。

ADPCMのサンプリング

MAMEサウンド用フロントエンドであるBridgeM1のチャンネルミュートでADPCMだけ再生して録音(48kHz)、編集した。
X68000版サントラの解説ではADPCMはドラム、オーケストラヒット、コーラスの3種類となっているが、実際にはティンパニー、ストリングス、ピチカートも鳴っている。

FM音源のサンプリング

MXDRVのチャンネルミュートでFM音源を各パートごとに再生して録音(48kHz)、編集した。
BridgeM1ではFM音源をチャンネルごとにミュートすることができない(旧いバージョンなので今はどうなってるかわからない)。
Chama+氏が作成したグラディウスⅡ全曲集のMDXはアーケード版やX68000版のコンバートではなく、精巧に作られた二次創作であった。
アーケード版で効果音に割り当てられていた3音を、左右同じ音で片チャンネルはデチューンとショートディレイで音に厚みを出す手法に使用しており、チャンネル割り当ては複雑になっている。
また、X68000ADPCMはサンプリングレートが低いためFM音源の空きチャンネルで補強するなど、ところどころ原曲にはないアレンジが加えられている。

音色リスト作成を途中放棄

グラディウスⅡの楽譜は最初のサウンドトラックであるアポロン音楽工業『スペース・オデッセイ グラディウスⅡ ~GOFERの野望~』に付録されているが、「Burning Heat」のメロディーや「Crystal World」の小節数が異なるなど採譜ミスが多い。
しかしながら調性などは十分参考にできるものであり、これを元にサンプリング作業を進めた。今後も、耳コピの参考にするつもりである。
なお、楽譜は『グラディウス アーケードサウンドトラック』や『グラディウス ポータブル 公式ガイド~レジェンド オブ Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ・外伝~』にも一部掲載されているのであわせて参考にしたい。

アポロンの楽譜に書かれている音色名はごく一部で、ベースはHeavy、リードはMetalなど耳慣れない音色名も多いため、最終的には自分の耳で聴いてこれはHarpsichord、これはClaviと分けざるを得なくなった。
ブラスとリードは実際のアーケード版がどうなってるかはさておき、実に細かく使い分けられており、分類に時間がかかっている。
FM音源のチャンネル割り当てに関しては前述の通りアーケード版と耳コピで作られたMDXでは大きく異なることもあり、時間的な都合もありスネアやバスドラの使い分けなど大まかな傾向把握に留めて、詳細な解析は放棄することにした。
以下、作成途中の音色リストからスクリーンショットをいくつか。

Title Demo (タイトルデモBGM)

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Coin (コイン音)

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Equipment (セレクトBGM)

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TABIDACHI (空中戦1BGM)

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Fire Dragon (第7ステージBGM -3-)

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  • アーケード版はVerseの繰り返しでディレイパターンが変化している(打ち込みミスっぽい)

Into Hostile Ship (第8ステージBGM -1-)

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  • MDXはGlockenにOrgan重ね。
  • MDXには原曲にないStringsパートがある(ここでMDXが二次創作であることを確信した)

Shoot and Shoot (第8ステージBGM -2-)

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The Final Enemy (第8ステージBGM -3-)

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Farewell (エンディングBGM)

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Game Over (ゲームオーバーBGM)

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  • 原曲にMDX終止部のディレイ繰り返しF.O.はない。
  • MDXはFM7~8chのDetuned Leadで補強している。

Ranking (ランキングBGM)

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  • MDXは2小節目に戻る。

関連ツイート

音色リスト作成にあたりAメロ、Bメロと書くことに疑問を感じ、ヴァース・コーラス形式を用いることにした。サビをコーラスと読み替えるとADPCMの音色名とぶつかるので楽譜に準じてDAボイスと呼ぶことにした。
dawlesson.net

UVI Workstationのタイムストレッチが便利

FM音源ADPCMのサンプルを使う方法は、当初SoundFontを作成するか、Studio One付属のSample Oneを考えていたが、音階を付けることでサンプル再生時間が長くなったり短くなったりしてしまうことが懸念だった。
Mac音ナナの音域を広げた際にはMAGIX Music Makerのエラスティック・ピッチチューンで元wavに近い高音波形を追加作成したこともあったが、そのような手間を省くいいVSTiが既に手元にあったことに気がついた。
UVI Workstationだ!
www.uvi.net
UVI WorkstationはNI KontaktみたいなものでUVIの音源を使うのに必要なものだが完全無料であり、ローカルドライブからwavなどを読み込ませてサンプラーとして使うことも可能なものだ。
そしてUVI Workstationで音階を付けると元wavの長さに合わせてタイムストレッチしてくれるのだ!
タイムストレッチの品質には若干難ありだが、他に同様の機能を持つ無料サンプラーVSTiが見当たらないので、今回はこれを使う方向で進めることにした。

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UVI Workstation起動時
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ローカルドライブからwavを選択
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ダブルクリックすると既にタイムストレッチされている
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MULTI画面に切り替え、ルートキーがC以外の場合はSEMIで調整する
※POLY数でモノフォニックに設定することも可能。
f:id:moetsukiro:20201101105034p:plain
SETTINGSタブでマルチサンプルやレイヤーの設定が可能
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ハンバーガーメニューからセーブ・ロードが行える

21年前の見知らぬMIDIデータサイトを発見! グラディウスがたくさんある!
http://www.kiwi-us.com/~ohta/music/

作品の頒布について


【ときめきアイドル】DREAMING-ING!! (Game Ver.)【グラディウスIII風】
過去に同様の手法でアレンジした『ときめきアイドル』のグラディウスFM音源バージョンをCDに収録したこともあったがあれはあくまでオマケであり、今回のように全編にわたってこの手法で制作したものを有料頒布することは気がとがめるというのが本音である。とはいえ新型コロナウイルスの影響で当面同人即売会への直接参加は見合わせており、同人ショップへ委託するならそれ相応の対価を求めなければならない。
幸いグラディウスⅡは先に挙げたX68000版のサントラのようにオリジナルがFM音源やMT-32、SC-55など複数の音源で展開されており、なにもFM音源だけを完成形としなくてもよいのではないかと考えることもできるだろう。しかしながらグラディウスⅡのサウンドの特徴はおもにADPCMに集約されており、まずFM音源バージョンで全体像を把握してから別の音源に差し替えるのが望ましいのではないだろうか。
(差し替え音源については現代のSC-88Proとも称されるXpand!2を検討している。詳しく検証していないがスネアがいい感じにハマってくれそうだ)
というわけで、現状はこのままサンプリングによるFM音源バージョンの制作を進めるが、これは当ブログや動画サイトなどで無料公開するに留めるものとし、CDバージョンは別音源に差し替えることを検討している。そのため、12月20日開催予定のゲームトレジャー3(WEB版)には間に合わない可能性が高い。が、これはもう納得がいくところまで作るしかないんじゃないか。

今後の作業予定

FM音源バージョン

  • FM音色分類作業の続き
  • UVI Workstationでサンプル音源を組む
  • 耳コピと逆順アレンジを同時進行
  • 完成したら当ブログや動画サイトなどで無料公開

CD(差し替え音源バージョン)

  • 差し替え音源の検討(Xpand!2が有力候補)
  • 差し替えアレンジの制作
  • ジャケットの作成(攻守逆転してビックバイパーに追いかけられるファイヤードラゴンという案が浮上。しかもファイヤードラゴンの名前がアフーゴではないという)
  • 同人ショップ委託(あきばお~こくは前作も委託予定)

その他グラディウス関連の出来事

グラディウスはなぜ海外でネメシスだったのか?


10月26日の奥成洋輔氏のこのツイートに関連した、エムツーの堀井直樹氏やFMPSGのWiz.兄貴のツイートに触発された。
アーケード版グラディウスⅡ(1988年発売)とMSXグラディウス2(1987年発売)は全く別のゲームなので区別しなければならないこの問題はとても面倒でファンの間でもしばしば論争になるのだが、実は海外版はアーケード版グラディウスⅢ(1989年発売)以降グラディウスで統一されたが、携帯ゲーム機版はネメシスとして発売されたのでグラディウスとネメシスの使い分けも非常に面倒なことになっている(下表参照)

機種 日本 海外 備考
アーケード グラディウス ネメシス  
アーケード グラディウス バルカンベンチャー 北米未発売?
アーケード グラディウス グラディウス  
MSX グラディウス ネメシス  
MSX グラディウス2 ネメシス2  
MSX ゴーファーの野望エピソードⅡ ネメシス3  
ファミコン グラディウス グラディウス vs.システムもグラディウス
ファミコン グラディウス   海外未発売
LCDゲーム ネメシス グラディウス  
ゲームボーイ ネメシス ネメシス コナミGBコレクションでグラディウスに改題
ゲームボーイ ネメシスⅡ グラディウスⅡ(北米) 日本もコナミGBコレクションでグラディウスⅡに改題

まとめるとこんな感じ。


この謎を解くヒントは海外サイトにあった(DeepL翻訳)。
www.gamasutra.com

For its overseas arcade release, Gradius was renamed Nemesis, a title kept for the game's European personal computer ports. However, it kept its original name in all territories for the NES port -- which despite some graphical downgrades, plays faithfully to the arcade game.(『グラディウス』は、海外でのアーケード版では、ヨーロッパのパソコン移植用に「ネメシス」という名称に変更された。しかし、ファミコン版では全ての地域で元の名前が使われており、グラフィックは若干ダウンしているものの、アーケードゲームを忠実に再現しています。)

自動翻訳ではパソコン移植用となっているものの、欧州で発売するにあたりグラディウスという商標が使用できずネメシスに変更したが、ファミコン版では問題なかったので全世界でグラディウスとして発売したということらしい。
バルカンベンチャーについては触れられていないものの、引き続き欧州ではグラディウスⅡという商標が使用できなかった模様。しかしグラディウスⅢで状況が一変し(要出典)、欧州でもグラディウスⅢとして発売できたというわけか。
となれば、欧州で競合したグラディウスというゲームが先にあるはずなのだけど、それに該当する文献にはまだ到達できておらず、参考記事の信憑性は不明のままである。詳しい人がいたらぜひ教えて欲しい。
なお、最近出てる公式グッズがほとんどファミコン版なのは、この海外でもグラディウスとして発売されたことに起因するとも言われている。真相のほどは定かではないが、インバウンドで外国人が目にしても即座にグラディウスとわかるのはファミコン版だけだ。
また、グラディウスⅢ発売後にコナミ工業からコナミに社名変更しており、グラディウスⅢまではTM(商標)だったのがPCエンジングラディウスⅡ以降は(R)(登録商標)に変わったというのも気になるところ。
まあGRADIUS英語圏だとグレイディアス読みになっちゃう問題もあるけどそれはまた別のお話。

CD BOX『ミュージック フロム コナミアーケードシューティング』予約開始

www.konamistyle.jp
1998年9月23日発売の『コナミお宝ゲームミュージックコレクション』や、2004年10月1日発売の『コナミミュージック名曲コレクション』以来16年ぶりとなるパロディウスだ!をはじめ、コナミのアーケードシューティングゲームの名作サントラを集めたCD BOXの発売が10月23日に発表された。
「ミュージック フロム」から始まるゲーム音楽CDは当時キングレコードだったファルコムレーベルに多く、コナミとしては同じくキングのコナミレーベル設立以前に、1988年3月21日スターチャイルドレコードから発売された『ミュージック フロム スーパー魂斗羅&A-JAX』以来、実に32年ぶりのタイトルとなる。
まるで『ときめきアイドル』の伊澄いずみちゃんが自分のために作ったかのようなCD BOXだ。年始の発売となり、実質的な『こなみすぺしゃるみゅ~じっく千両箱~令和三年版~』と捉えることもできる。
そうした往年のゲーム音楽ファンを狙った商品なのであろうか、収録内容は旧コナミレーベル時代に発売されたCDの総集編と思われ、コナミスタイル早期購入特典のMSXパロディウスのサントラを含め新規録音はまったくないのではないかという憶測が飛び交っている。しかしセクシーパロディウスなどパロディウスシリーズのサントラは既にこのCD BOXを上回るプレミア価格になっているというし、ファンにはうれしい復刻だろう。


10年ほど前に発売された『グラディウスアルティメットコレクション』や『コナミシューティングコレクション』はアーケード版をはじめ各種家庭用ゲーム機・パソコン移植版を完全網羅したCD BOXだったので、パロディウスも同じようにまとめられることを期待していたファンは多かっただろうし、水面下ではコナミもファンの声に応えようとしていたのだろうけど、クラシックをはじめとするアレンジ曲が多いパロディウスには(アーケード版の制作当時から)著作権問題がつきまとい、復刻盤の発売は絶望視されていた。それだけに、既に発売済みのCDの総集編なら実現可能という妥協策に打って出たのではないかと推測した。それならば実況おしゃべりパロディウスも復刻できそうなものだが、こちらはスーパーファミコン版とプレイステーション版のサントラが別々に発売されているし、著作権問題は更に厳しいことが予測されるため、致し方ないところだろう。
ジャケットは収録ゲームのタイトルロゴを集めたものになっているが、同じくシューティングゲームのタイトルを集めたCDが過去にティームエンタテインメントから2枚発売されていた。中古価格はそれほど高くないので、これを機に揃えてみてもいいかもしれない。リブート発売で今話題のコットンシリーズも収録されている。
BLAST!~SHOOTING GAME SOUND OMNIBUS VOL.1~

BLAST!~SHOOTING GAME SOUND OMNIBUS VOL.1~

Storm!: Shooting Game Sound Omnibus, Vol.2

Storm!: Shooting Game Sound Omnibus, Vol.2

発表当日は見覚えのある顔ぶれのツイートで大いに盛り上がったが、検索した結果見つかったこちらのブログを引用して締めくくりたい。
arkstar.blog.ss-blog.jp

言い換えれば、2007 年以降はアーケード版シューティングゲームって出てないって事ですね。
そう考えると、何だかなぁって思ったりもしますが。

https://arkstar.blog.ss-blog.jp/2020-10-23