沙羅曼蛇2のストーリーを読み解く
今年は沙羅曼蛇35周年ですが、沙羅曼蛇10周年の1996年に発売された沙羅曼蛇2も25周年という節目の年です。
私は沙羅曼蛇2が大好きで、きたる2021年7月4日から頒布開始する『ウンディーネ(仮想ゲームサントラ)』もオリジナル作品ではありますがその大部分が沙羅曼蛇2のオマージュです。
『ウンディーネ』を企画するにあたって沙羅曼蛇2のストーリーを読み返したのですが、「星系が亜空間にのみこまれた」ということの重大さを25年もの間見過ごしていたことに気づいてしまったのです。
気づいたときにもその衝撃を伝えようとしていましたが、今回はあらためて沙羅曼蛇2のストーリーを読み解き、沙羅曼蛇2とはグラディウスシリーズの中でどういう位置づけのゲームだったのかを考えます。
沙羅曼蛇2のストーリー
沙羅曼蛇2のストーリーは、アーケード版の広告を含めるといくつかのバリエーションが存在します。
初移植のPS『沙羅曼蛇デラックスパックプラス』のストーリーが最終的なものなので、こちらを引用して詳しく見ていきましょう。
星間歴0999‥‥。
亜空間生命体「ドゥーム」が侵略を開始した。
彼らの出現により宇宙空間に歪みが生じ、人類が開拓してきた
様々な星系は亜空間にのみこまれていった。
かろうじて逃れた人々は母星グラディウスを最後の拠点として反撃を開始した。
キーワード解説
沙羅曼蛇2のストーリーにはこのゲームの世界を象徴するキーワードがいくつも散りばめられています。順に抜き出していくと次のようになります。
- 星間歴0999
- 亜空間生命体「ドゥーム」
- 宇宙空間に歪みが生じ
- 人類が開拓してきた様々な星系
- 星系は亜空間にのみこまれていった
- かろうじて逃れた人々
- 母星グラディウスを最後の拠点
- 人類最後の希望を賭け
- 超時空戦闘機
- ビックバイパー
- スーパーコブラ
詳しく解説します。
星間歴0999
グラディウスシリーズでは、作品によってグラディウス歴や宇宙歴など、複数の紀年法が使われてきましたが、星間歴というのは沙羅曼蛇2だけで使われている紀年法です。
2004年発売のグラディウスⅤがグラディウス歴8010年の出来事であり、これ以降グラディウスシリーズはMSX版グラディウス2から用いられているグラディウス歴が正史ということになりました。
グラディウスシリーズをグラディウス歴でひとくくりにした場合、沙羅曼蛇2は前後関係が不明なため、いつ頃の出来事なのか特定できないという問題があります。唯一の手がかりは、沙羅曼蛇2に登場するのは6機目のビックバイパーということだけです。
これによって、沙羅曼蛇2はグラディウス歴の出来事であるとも、全く別の世界での出来事であるとも考えることができます。
亜空間生命体「ドゥーム」
沙羅曼蛇2(1996年)はグラディウスⅢ(1989年)で亜時空星団バクテリアンとの戦いに終止符を打ったあと、初めてアーケードで発売された続編です。
そのため亜空間生命体「ドゥーム」というのは、グラディウスⅠ~Ⅲや沙羅曼蛇で戦ってきたバクテリアンとは異なる敵勢力ということになります。
しかしながらゴーレムやテトラン2(テニーロップ)など沙羅曼蛇と共通する敵キャラクターが登場し、バクテリアンとよく似た兵器体系の軍団であることがわかります。
沙羅曼蛇2ステージ4の宇宙艦隊はドゥームがのみこんだ星系から虜獲(りょかく、生け捕りの意)したものであるとゲーメスト掲載の設定資料に書かれており、人類側の兵器を操って使うという点が、バクテリアンとは大きく異なる特徴と言えるでしょう。
宇宙空間に歪みが生じ、星系は亜空間にのみこまれていった
ドゥームは星系という銀河や星団のような星の集まりをまるごとのみこんで、亜空間という異次元・異世界に連れ去ってしまう、とても恐ろしい生命体であるということがわかります。
ここで前作『グラディウスⅢ~伝説から神話へ~』のストーリーを、PS2『グラディウスⅢ&Ⅳ~復活の神話~』から引用しましょう。
“ダーク・フォース”は、
我々の想像を絶する強大なパワーを持つエネルギーで
全宇宙を包み込み破壊と殺戮の限りを尽くす。
侵略の影はグラディウス周辺の惑星を次々と飲み込み、
今まさにグラディウス本星に魔の手を伸ばしつつあった。
このようにグラディウスⅢと沙羅曼蛇2のストーリーはよく似た特徴を持っていますが、バクテリアンとドゥームに明確な違いがあるとすれば、それはドゥームが「星系を亜空間にのみこんだ」と明記していることでしょう。バクテリアンに侵略された惑星がこの世界にあるのか異世界にあるのかはグラディウスⅢのストーリーからではよくわからないのです。
人類が開拓してきた様々な星系、母星グラディウス
星間歴0998年より前に何があったのか、詳しいことは何ひとつわかっていませんが、おそらくこの約千年間というのは人類が母星グラディウスを飛び出して、様々な星系を開拓してきた年月ということなのでしょう。
ドゥームによって失われたものの重みが感じられます。
かろうじて逃れた人々
このことから、ドゥームは一瞬で星系をのみこんでいったわけではなく、運良く逃げのびることができた人たちもいたことがわかります。
またおそらくワープなど、人類にはこの未曾有の危機から逃れるすべがあることもわかります。
母星グラディウスを最後の拠点
母星ということはこの世界の人類の起源は惑星グラディウスであって、グラディウスは最後まで亜空間にのみこまれずに残っていたことがわかります。
また、惑星グラディウスからどんなに遠く離れた星系に行っても、人類はグラディウスを忘れなかったという事実も明らかになっています。
超時空戦闘機ビックバイパー、スーパーコブラ
超時空戦闘機というのはグラディウスで初めてこの世界に登場した対バクテリアン兵器です。
そのため、沙羅曼蛇2というタイトルを考えても、少なくとも沙羅曼蛇以降の世界のストーリーであることが推測されます。
またスーパーコブラは沙羅曼蛇2のみに登場する機体です。これも作品世界を読み解く上で重要なキャラクターなのですが、詳しくは長くなるのでここでは省略します。
沙羅曼蛇の炎の予言や惑星ラティスのロードブリティッシュほど魅力的でないかもしれませんが、沙羅曼蛇2の世界観も知れば知るほど奥が深く独特です。
沙羅曼蛇35周年に向けていくつか書いていきますので続きにご期待ください!