昨日の北海道COMITIA16でお隣だった楽団型秘密結社MALICE BERRYさんが配布されていた無料小冊子に、
再生機器がないのにお迎えしてくださった方、ちゃんと聴けたのだろうか…
と書かれていたのが目に留まりました。
CDプレーヤーをお持ちでない方が多い。
これは由々しき事態です。
音楽CDを取り巻く環境の変化を振り返ってみる
音楽CD発売40周年の今年、iPodが21年の歴史に幕を下ろしましたが、思えば2002年のCCCD(コピーコントロールCD)を経てメジャー流通の音楽CDはどんどん売れなくなっていきました。*1
そんな中、2007年に三才ブックスから「同人音楽を聴こう!」が出版されるなど、CDが売れるマーケットとして同人音楽、M3が注目されるようになります。
しかし2013年発売のPlayStation 4からCD再生機能がなくなり、ノートパソコンにDVDマルチドライブが搭載されなくなっていきました。
さらに2015年には太陽誘電がCD-R生産から撤退。同人音楽ではいまだ音楽CDが主流とはいえ、ダウンロードカードや音楽配信サービスに移行しつつあります。
近年では2021年にCDよりレコードが売れていることが話題になりました。またスマホ用のCDリッピング機器が売れていることも注目されています。
▲アイマスのサブスク解禁前に発売された、CDリッピング需要を狙ったコラボ商品。
こうして振り返ってみると、CDをリッピングまたはMDを光デジタル接続してMP3等に変換しPCやデジタルガジェットで聴く文化はNapsterなどiPod登場以前からありましたが、2000年代に入るとCDはiPodやパソコンで音楽を聴くために一度リッピングされたら、もうオーディオ機器で再生されることはなく部屋の隅でホコリをかぶるか、中古で売買される*2だけの「器」に過ぎませんでした。
音楽CDに収められている44.1kHz/16bit/ステレオのデータはWindowsならWAV、MacならAIFFと同等のものですが、4Gや光回線など高速大容量のインターネットが普及するとそれを超える音質のハイレゾを音楽配信サービスからダウンロードすることが可能となり、音楽CDがもつ手軽に高音質で音楽を楽しめる優位性は完全に失われました。
CDプレーヤーの音質はDAC(D/Aコンバータ)やアナログ回路等の品質に左右されるため、高級品ほどノイズが少なく音質がクリアになる傾向にあります。
これだけ音楽プレーヤーとしても十分な品質のスマホが普及すると、家電量販店で数千円から2万円弱で売られているCDプレーヤーは音質面でまったく勝ち目がありません。
数千円で買えるCDラジカセの場合、内蔵スピーカーから鳴らす分にはまあ問題ない*3と思いますが、イヤホン出力の質が悪くノイズが乗る機器が多いのではというのが心配になります。*4
ちなみに私は長年DENONのRCD-M37というCDプレーヤー内蔵アンプ(4万円くらい)を使っていますが、これもイヤホン出力が悪く、一流メーカーだからと安心できない面があります。CDプレーヤー部の品質も、アンプの音質も納得がいっているのですが。
そういうわけで、CDプレーヤーをお持ちでない方に対して、安易にその辺で売ってるもの適当に買えばいいとおすすめできないのがここ数年の悩みです。
CDプレーヤーの音質が悪いせいで、作品の評価まで下がってしまっては困りますからね。
といっても一定水準の音質を満たしたオーディオ機器がどれなのかもわかりませんし、そのために数万円の出費を強いるわけにもいきません。
RCD-M37の後継機種。原料価格の高騰等を理由に定価は約1万円値上げしましたが、家電量販店では値上げ前より安い3~4万円台で入手可能な模様。RCD-M37とは入出力周りの構成が異なり、特にアナログ出力がなくなってしまったのはヘッドホンアンプ接続に不便ですね。
一番安いグリーンハウスGH-DVP1F-BKは失敗でした
ちなみに、うちのRCD-M37はもともとCD-Rを読み込めず閉じ込めてしまうため小突いてCDを取り出したり(昭和かよ)、冬になると結露でプレスCDの再生もままなくなります。
そのため、代わりにCDが再生できるラジカセやポータブルBDプレーヤーなどをサブで使っています。どちらもソニー製ですが音質はDENONにかないません。ドンシャリですね。
写真のような状態になる前、ゲオで一番安いグリーンハウスのGH-DVP1F-BKというDVDプレーヤー(税抜2980円)をつないでいたことがありましたが、これは失敗でした。
DVDプレーヤーとしては工場出荷状態から特に設定変更することなく使え、本体にディスプレイが付いているためテレビ画面を見なくても音楽CDくらいなら再生、リモコン操作が可能です。
ただ、アナログ出力がガビガビで電源オンしただけの無音状態でかなりのノイズを発しています。もしかしたら千円高いHDMI出力付きを買ってテレビのイヤホン出力から聴けばもう少しマシなのかもしれません。
5千円も出せば一流メーカーのDVDプレーヤーが買えるわけですから、CD再生のためにディスプレイ付きにこだわったのが裏目に出た感じですね。勉強代といったところでしょうか。
なおCDトレイの開閉には輪ゴムを使っているらしく、ゴムが切れただけのジャンク品が多く出回っている模様。完全に使い捨てと割り切ったほうがよさそう(レックスマークのプリンターみたいに)。
強いてよかった点を挙げるなら、他のCDドライブで読み込めなくなった古いCD-Rなどでも無理やり再生できてしまうため、そのために予備で取っておこうかとは思います(売っても二束三文だし)。
Bluetoothイヤホンが使える東芝TY-P30がおすすめできるのではないか?
今朝ふと東芝にBluetoothイヤホン対応のポータブルCDプレーヤーがあったのではないかと思い出しました。検索するとTY-P30という機種だとわかりました(市価7千円程度)。
iPhoneユーザーならAirPodsなどのBluetoothイヤホンをお使いの方も多いでしょうし、普段使っているイヤホンをそのまま使えたほうが便利なのではないでしょうか。有線イヤホンも使えます。
Bluetooth対応のCDラジカセはいくつかあるのですが、その多くは受信機能で、つまりスマホの音をスピーカーから出すためのAUX端子をBluetoothに置き換えたものにすぎません。
なのでBluetooth送信機能に対応したTY-P30は安価なオーディオ機器ではわりと珍しい製品だと思います。CDプレーヤーをお持ちでない方は検討してみてはいかがでしょうか?