萌尽狼グ

同人音楽サークルkaguyadepth代表、萌尽狼(もえつきろ)の個人ブログ

令和のカシオトーンCT-S200/300でMIDIデータを再生できる無料アプリ「Chordana Play」

この記事をシェアする

f:id:moetsukiro:20191019115700j:plain

令和のカシオトーンCT-S200・CT-S300にはパソコン・スマホMIDIで演奏情報をやり取りするためのUSB-micro B端子が付いています。
無料アプリ「Chordana Play」をインストールして、スマホカシオトーンをUSB接続すると、音楽ゲーム感覚で曲を演奏したり、MIDIデータを再生できるようになります。
web.casio.com

ハンドル付きで持ち運びに便利な令和のカシオトーン。バンド活動などでMIDIデータ再生のためにパソコンも一緒に持ち歩くのは大変です。
あらかじめスマホMIDIデータを転送しておけば「Chordana Play」で再生できて便利ですね。でも実際に使ってみるといろいろ問題が出てきました。

接続に必要なもの

スマホの機種によってLightning端子だったりUSB-C端子だったりUSB-micro B端子だったりしますので、 詳しくは「Chordana Play」公式サイトのPDFをご覧ください。
https://web.casio.com/app/ja/play/support/connect.pdf

私のスマホXperia Z5でUSB-micro B端子です。スマホカシオトーンもUSB-micro B端子なので、両端がUSB-micro B端子のケーブルを買いにセリアに行きましたがありませんでした。
セリアは品揃えが悪いんだろうと思ってダイソーに行きましたがそこにもありません。近くに中古スマホを扱うゲオがあったので寄ってみましたがそこにもありません。
ちょっと来た道を戻ってヤマダ電機に行ってみましたがそこにもありません。いやいや家電量販店まで来て売ってないのはおかしいだろ。夜も遅くなってきたし焦りました。
こうなったらUSB AメスをUSB micro-Bオスに変換するアダプタでも何でもいいと思って振り向くと、そこにあったのはUSBホストケーブル(OTGケーブル)。これだぁーっ!!
いやはやバカでした。OTGケーブルなら中華タブレット買ったときに付いてきたのを持ってました。しかもルートアールのOTGハブも買ったままの未開封で部屋に転がってました。
というわけで、スマホカシオトーンの接続にはUSBホストケーブル(OTGケーブル)というものが必要になります。ヤマダ電機で600円くらいでしたので、持ってない人は用意してください。

スマホの設定に注意

帰宅後、スマホに「Chordana Play」をインストールしてカシオトーンとOTGケーブルでつないでみましたが、反応しません。
ケーブルが悪いのだと思い、OTGハブを開封してつなぎ替えてみましたがこれもダメ。パソコンとスマホをつなげたときのあの画面が出てきません。

f:id:moetsukiro:20191019115741j:plain
あの画面

ふて寝して朝調べてみるとXperia Z5は接続したUSB機器を自動認識しないんだそうで。設定→機器接続→USB接続設定→USB機器を検出とタップしていったらあっさり認識しました。
ただし、一度スマホからケーブルを抜いてしまうと、また設定からやり直さなくてはいけないようです…
「Chordana Play」起動時に接続したカシオトーンの型番が表示されればOKです。

問題その1:スマホ表示・サウンドの遅延

あらかじめスマホに転送しておいたセガテトリスMIDIデータ(保存場所はどこでもいい)を選択するとスマホカシオトーンで曲が流れ出しました。

f:id:moetsukiro:20191019115843j:plain
スマホ上の拡張子.midファイルが表示されるのでタップ

f:id:moetsukiro:20191019115943j:plain
MIDIファイル読み込み時にどのように画面表示するか設定が必要

やった! 動いた! と思うと同時に、気になったのが遅延。スマホの画面表示と出音が、どうしてもワンテンポ遅れる。ちゃんと測ってないけど、体感としては0.5秒くらい?
カシオトーンのキーボードを演奏すると、連動してスマホの鍵盤もアニメーションするんだけど、そっちの遅延はさほど感じない。
アプリ内サウンドをオフにしても画面表示の遅延は変わらない。設定を開いても遅延を解決できる機能は付いていない。
これは困りました。Google Playストアで「弾きにくい」というユーザーレビューが並んでしまうわけです。

問題その2:右手・左手の設定

セガテトリスMIDIデータはDominoで作成しましたが、音源定義ファイルで全チャンネルに初期化情報が組み込まれるようになっています。
そのため「Chordana Play」で読み込ませると、全てのチャンネルが選択可能になってしまうため、どのチャンネルを右手・左手に設定すればいいのかわけがわかりません。

f:id:moetsukiro:20191019120034j:plain
手のアイコンをタップして設定しないといけないけど番号だけでわかるかっつーの!

また、メロディーを音色ごとに複数のチャンネルに分けて打ち込んであると、右手も複数のチャンネルを設定しなければいけないわけですからさらに大変です。
MIDIデータを読み込んだ時点でちゃんと設定しないと音楽ゲームとしては機能しませんし、「Chordana Play」で遊びやすいようにMIDIデータを作成すると自由度が低くなってしまいます。
本ブログで今後「Chordana Play」用のMIDIを作ろう! って感じで進めていけたらいいかな? と思っていたので、いきなり出鼻をくじかれてしまいました。

問題その3:楽譜表示の破綻

演奏ガイド表示は音楽ゲーム風、楽譜表示、その両方の3パターンから選べるのですが、特にMIDIデータの楽譜表示がひどい。

f:id:moetsukiro:20191019130039j:plain
全部の音符に指番号が振られているが正直見づらい…

音符が重なって表示されたり、連符が小節線をまたいでしまったり、ひんぱんに転調して画面上がシャープやナチュラルだらけになったり。表示遅延も相まって、とても目で追える楽譜ではないです。
これもGoogle Playストアで「何が原因なの?」というユーザーレビューがありました。
そもそもMIDIは演奏情報の通信規格であって楽譜ではありません。よって楽譜風にアプリ側で解釈して表示しているだけです。
ただ、内蔵曲の方はちゃんと楽譜になってますし、コードも表示されていますから、MIDIデータの作り方に問題があるような気がします。
コード表示ができるMIDIデータといえばヤマハのXFフォーマットが挙げられますが、カシオは独自でカラオケ配信サービスを行っていたので、独自フォーマットの可能性もあります。
カラオケ配信サービスは2020年7月終了予定で、8/27で新規ユーザー登録とアプリダウンロードが終了しているため、データを入手して解析することも出来ません。

「Chordana Play」使用中もカシオトーンの全機能が使えるけど…

「Chordana Play」使用中にリズム、ソング、ダンスモードに切り替えることは可能です。
本体内蔵シーケンサーMIDIチャンネルは、MIDIデータと完全に独立して制御されているため、つまり演奏がごちゃまぜになります。
再生するMIDIデータと本体のBPMをあらかじめ同じに設定しておけば、手動で同期させることは不可能ではありません。
ダンスミュージックモード用に、オリジナルのループを作るということもできなくはないです。
ただし、いったんソングに切り替えると内蔵ソングのデータで初期化されてしまうため、MIDIデータの音色は全部ピアノに化けてしまいますので注意です。
「Chordana Play」を一時停止して、演奏を再開すれば音色はもとに戻ります。
また、ダンスミュージックモードのFXはMIDIデータ演奏には効果がありません。この点に関しては別記事にて詳しく解説したいと思います。

あとがき

カシオの音楽アプリはiOS用が多くAndroid用は少ないので、iOS版の「Chordana Play」だったらもっと快適に使えるのかもしれません。
MIDIプレーヤーとしては問題なく使えるのですが、音楽ゲーム風に使わないとなるとアプリの魅力は半減してしまいます。
内蔵曲と同じように表示させるには、MIDIデータ作成の仕様が不明すぎです。もしうまく作れたとしてもスマホの画面表示や音が遅延してしまう問題は解決しません。
スマホカシオトーンでクリック音を出して、そのタイミングで表示遅延を手動補正する機能をバージョンアップで実装してほしいのですが、カシオさんいかがでしょうか?

追記

光ナビゲーションキーボード用の「ソングバンクプラス」アプリの方はメーカー担当者が真摯に返答されていますので、「Chordana Play」の方も対応してくれることに期待してユーザーレビューを投稿しました。
play.google.com